不器用さのある発達グレー息子、苦手なことは「この子のペースで」って甘やかし?実母、義弟の言葉にモヤモヤして…【読者体験談】

ライター:ユーザー体験談
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【発達ナビでは読者からのエピソードを募集中!今回は「不器用」についてのエピソードをご紹介します。】現在6歳のDQが境界域の息子がいます。診断は受けていませんが、自閉スペクトラム症(ASD)、ADHDの特性があると感じています。また、息子には手先の不器用さがあります。特におはしをうまく使えず、私は周りの反応が気になってしまうことがありました。

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監修: 森 しほ
ゆうメンタル・スキンクリニック理事
ゆうメンタルクリニック・ゆうスキンクリニックにて勤務。産業医として一般企業のケアも行っている(産業医のご依頼を随時受付中)。 ・ゆうメンタルクリニック(上野/池袋/新宿/渋谷/秋葉原/品川/横浜/大宮/大阪/千葉/神戸三宮/京都/名古屋):https://yuik.net/ ・ゆうスキンクリニック(上野/池袋/新宿/横浜):https://yubt.net/ ・横浜ゆう訪問看護ステーション(不登校、引きこもり、子育て中の保護者のカウンセリング等お気軽に):https://yokohama.yuik.net/shinyoko-houkan/

乳幼児の頃から、 “手を使うおもちゃ”で遊ばなかった息子

現在6歳・年長さんの息子は、3歳9ヶ月で「新版K式発達検査」を受けたところDQが80で3歳0ヶ月相当、境界域であることが分かりました。

息子には手先の不器用さがあります。ひらがなは書けるもののアンバランスだったり、距離感をとらえにくいのか、ものを手渡す際相手の鼻先まで持って行ったりするようなときもあります。ボール遊びや縄跳びも苦手です。

乳幼児の頃の息子は、何かによじ登ったり、飛んだり、踊ったり、体全体を使うことは好んでやっていたのですが、積み木やボタンを押したりカギを開けたりする手を使うおもちゃにはほとんど手を伸ばしませんでした。その頃は「発達の遅れがあるかも?」とは思っていませんでしたが、息子の手先の不器用さはこの頃からつながっていたのかもしれない……と今振り返ると感じます。

そしてこの手先の不器用さがネックになり、なかなか習得できなかったのは「はしの持ち方」です。私も周りの目を気にしすぎて、いらない心労を抱えてしまったと思います。

「できないから、やだ!」おはしの練習を全力で拒否!

息子が年少クラスの9月頃、通信教育のワークブックにおはしの練習ができる付録がついていました。いい機会だと思った私は、これを使っておはしの持ち方を練習することにしました。

プレッシャーをかけないように、楽しく、気楽に練習できるように努めました。付録も楽しくやるものだったので、幼児には取り組みやすかったと思います。ですが、これがなかなかうまくいきません……。やはり手先が思ったように動かせない、力の入れ方などにも不器用さが出てしまうようなのです。

息子は嫌なものはテコでもやらない性格。かつ、失敗すると必要以上にクヨクヨしたりイライラしたりして、ヘソを曲げてしまうところがあるのですが、このおはしの練習でもヘソを曲げてしまいました。何度勧めても「できないから、やだ! やらない!」とかたくな……。私はこの息子の様子をみて「無理強いすることもないか」と、おはしの練習はもう少し待つことにしました。
何度勧めても「おはし嫌だ!」とかたくなな息子
おはし嫌だ! とかたくなな息子
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義弟「おはしを使ってみようか」、実母「甘やかしすぎ」二人から言われた言葉にモヤモヤする私……

わが家のお正月は、私の実家に妹一家と私の家族が集まって食事をするのが恒例です。その中のメンバーである妹の夫(義弟)は、ちょっと厳しい人のようで、妹からは娘である姪っ子(当時小1)が小さな頃から、おはしの持ち方を厳しく指導していたと聞いていました。

息子が年中だったお正月のことです。フォークを使っている息子を見た義弟が「おはしを使ってみようか」と息子に声をかけました。義弟の口調は優しくて、決して息子をとがめるような物言いではなかったのですが、ちょっと緊張が走った私。

その時、姪がとっさに「パパ!(おはしがうまく使えなくても)怒らないであげてね!」と息子をかばうような声がけをしてくれました。
姪の反応を見た私は(おはしの持ち方に厳しいって本当なんだ。息子がまだおはしを持てていないこと、あとでなんか言われてそうだな……。事実だから仕方ないけど……)とちょっと胸が苦しくなってしまいました。

幸いにも当の息子はまったくその空気を察しておらず、「え~、おはし使うのやだ~」と超マイペースにフォークを使い続けていました。
姪の発言があったからか、義弟はそれ以上何も言いませんでした。
義弟の「おはしを使ってみようか」に母はドキッ!
義弟の「おはしを使ってみようか」に母はドキッ!
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しかしこの時同席していた実母は「やっぱり息子くんを甘やかしすぎなんじゃないの? 無理してでもおはしを練習させたほうがいいんじゃない?」と私に注意してきました。両親は、私の仕事の関係で週2回息子を預かってくれているので、息子の発達のことや不器用さのことも把握しています。とはいえ、母はメンツや体裁にこだわるタイプなので、義弟に指摘されたことで「体裁が悪い」「もっとちゃんとはしの練習をさせておくべきだった」と思ったのだろうと思います。

私は、何とも重たい気持ちになってしまいました。
実母に「甘やかしすぎじゃないの? 無理してでもおはしを練習させたほうがいいんじゃない?」と言われて……
実母に「甘やかしすぎじゃないの? 無理してでもおはしを練習させたほうがいいんじゃない?」と言われて……
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息子の不器用さを理解してもらえない環境? 私はどうすべき?

この後、私はモヤモヤしていました。

(妹や義弟は姪のような優等生を日常的に見てきている。そんな人たちに息子の不器用さや、言って聞かせることの難しさを理解してもらうのは難しいんだろうな。息子がおはしを使わないのは、わが家のしつけがなっていない、指導する根気が足りないからって思われているんだろうな……)

(母は、私や妹の「人より劣っている部分」を強くけなしたり、逆に「人より優れている部分」に対してすごく得意になる傾向があった。何かと人より遅れがちな息子を今後どんなふうに受け止めていってくれるんだろう……。受け止めきれなくなったときは、また今回みたいに私に「しつけがなってない」って怒るのかな……)

そんな考えが頭の中でグルグル回ります。……とはいえ、妹夫婦からそうした態度で接してこられたことはなく、私が勝手に卑屈になっているだけ。なぜそう卑屈になってしまうか考えたところ、「まだ無理強いすることもないか」と思いつつも、私も実は息子の不器用さに焦りを感じているのです。そんな自分に気づくことができました。

また、私は義弟からはし使いを指摘されることが嫌というより、「そうした出来事をきっかけに、母が私の育児にあれこれ言ってくる可能性が高いこと」が引っかかっていることも自覚。となると、これは息子がはしを持てないことが問題というより、自分の気持ちの問題であり、自分の軸をしっかりもてば、このモヤモヤは解消できるかもしれないと気を持ち直しました。

息子にあったタイミングで背中を押す。そんな子育てをしていきたい!

私は今まで通り、息子の不器用さを感じても深追いしてやり方を細かく指導することはせず、息子がその気になるまで待ち、興味を持ったら教える方法を続行することにしました。

そして年長(6歳)になった息子は、こども園のお昼の時間にみんながおはしを使い出したことに刺激を受けたようで、最近ようやくおはしを持つようになってきました。これが息子のおはしの練習をするベストタイミングだったのだと思います。

普段は正しく持てていますが、ときどき下側のはしを薬指で支えるのがうまくいっていなくて、握りばしになっています。あと、そうめんのような、おはしでつかみにくい料理だと、トレーニングばしに持ち替えたがります。それでも嫌がることなく、どう持てばいいか試行錯誤している息子を見ると、その姿がほほえましいです。
おはしに試行錯誤している息子の姿がほほえましい
おはしに試行錯誤している息子の姿がほほえましい
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またお正月にみんなで集まるときは、息子にはおはしを使わせようと思っています。使い方がまだ完璧じゃないので、義弟から何か注意を受けるかもしれませんが、息子にとっては、私や夫以外の人から注意を受けることも貴重な体験かもしれないと、私自身も思えるようにもなりました。

息子は臆病なところがある一方で、好奇心が旺盛。その好奇心を大切に、いろんなことに挑戦してみてほしいと思っています。そのためにも、息子が「頑張りたい」「やってみようかな」と思っている瞬間を見逃さず背中を押す、あるいは、いろんな人との関わりを増やして、刺激を受けながらモチベーションを上げていってもらえればと思います。

イラスト/カタバミ
エピソード参考/苗

(監修:森先生)
DQとは「発達指数」のことで、日常生活や対人関係における子どもの能力の指標のこと。もちろん数値は目安に過ぎず、発達は早いけれどもおはしを使うのが苦手な子どももいますし、その逆もありえます。おはしを上手に使えなくても、フォークを使うなどして食事ができれば全く問題はないはず。おはしの使い方それ自体にこだわっても仕方ないのですが、そうはいってもおはしの使い方は友達や親戚と食事をする場面で気になりやすい部分ですよね。

できるようになるタイミング、やりたいと思うタイミングは一人一人違います。落ち着いて練習できるように、お家での食事ではおはしを使ってみようか? と声かけを頻繁にしてあげるのがいいのではないでしょうか。ただし、無理強いは禁物です。厳しく言われると、食事そのものに苦手意識を持ってしまうでしょう。

姪っ子さんは父親である弟さんからおはしの使い方を厳しく指導されたようなので、思うところがあったのでしょう。大切なことは本人も周囲も楽しく食事をすることで、食器の使い方はあくまでもそのための手段であることを忘れないようにしたいですね。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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